原因分析の機能
原因分析の解説
原因分析の全体像
1.原因分析の対象
運営組織が補償対象と認定した重度脳性麻痺の全事例が原因分析の対象となります。
2.原因分析報告書
1)原因分析報告書の作成
原因分析報告書(以下、「報告書」といいます。)では、分娩機関から提出された診療録等に記載されている情報および保護者からのご意見に基づき、医学的な観点から原因分析を行うとともに、今後の産科医療の質の向上のために、同じような事例の再発防止策等の提言を行います。報告書は、運営組織の責任のもとに、原因分析委員会(以下、「本委員会」といいます)および原因分析委員会部会(以下、「部会」といいます)において作成します。
なお、報告書は、分娩機関および児・保護者にフィードバックするとともに、再発防止や産科医療の質の向上のため、個人情報および分娩機関情報の取り扱いに十分留意の上、公表します。
2)原因分析委員会
原因分析を公平で中立的な立場で、適正に行うため、運営組織に第三者委員会である原因分析委員会を設置しています。原因分析を行うにあたっては、周産期医療の専門家が医学的な観点で事例を分析することとしており、本委員会の委員は、産科医、小児科医(新生児科医を含む)、助産師、また児・保護者、国民にとって分かりやすく、信頼できる内容の報告書とするために、法律家、医療を受ける立場の有識者で構成されます。
3)原因分析委員会部会
本委員会での審議を十分かつ効率的に行うため、本委員会の内部組織として当面6つの部会を設置しています。
各部会は、産科医3 名、小児科医(新生児科医を含む) 1 名、助産師1 名、弁護士2名の計7 名の委員から構成されます。弁護士の部会委員は、論点整理や、報告書を児・保護者にとって分かりやすい内容とする役割を担います。
なお、助産所や院内助産所の事例については、各部会に所属する助産師の委員に加えて、2 名の助産師が審議に加わります。
3.原因分析の基本的な考え方
報告書は、次の基本的な考え方に基づいて作成します。
(1)原因分析は、責任追及を目的とするのではなく、「なぜ起こったか」などの原因を明らかにするとともに、同じような事例の再発防止を提言するためのものです。
(2)報告書は、児・家族、国民、法律家等から見ても、分かりやすく、かつ信頼できる内容とします。
(3)原因分析にあたっては、分娩経過中の要因とともに、既往歴や今回の妊娠経過等、分娩以外の要因についても検討します。
(4)医学的評価にあたっては、検討すべき事象の発生時に視点を置き、その時点で行う妥当な分娩管理等は何かという観点で、事例を分析します。
(5)報告書は、産科医療の質の向上に資するものであることが求められており、既知の結果から振り返る事後的検討も行って、再発防止に向けて改善につながると考えられる課題が見つかれば、それを指摘します。
原因分析報告書作成の流れ
報告書は、次の手順に従って作成します。その手順は、「1.分娩機関および児・家族からの情報収集」、「2.原因分析報告書の作成」の2段階に分かれています。
なお、審査の結果、補償対象となり、原因分析を開始してから報告書の完成までに概ね6ヶ月~12ヶ月の期間を要します。
4.分娩機関および児・家族からの情報収集
分娩機関および児・家族からの情報収集は、運営組織において次の手順に沿って行い、報告書の「事例の概要」を作成します。
5.原因分析報告書の作成
報告書は、部会および本委員会において次の手順に従って作成されます。
部会における報告書の作成
各部会において、分娩機関から提出された診療録等に記載されている情報および保護者からの意見等に基づき、産科医の部会委員が作成した報告書案について医学的な観点で審議を行い、報告書を作成します。
本委員会における報告書の承認
委員会において、各部会より提出された報告書について審議を行い、承認の可否を決定します。
6.分娩機関および児・保護者へのフィードバック
本委員会において承認された報告書は、運営組織における機関決定後、分娩機関および児・保護者に届けられます。
■ 分娩機関および児・保護者への送付書類
原因分析報告書
別冊 医学用語集
別紙 家族からの疑問・質問に対する回答
公表用 原因分析報告書要約版
公表用 原因分析報告書全文版(マスキング版)
(注)家族からの疑問・質問に対しては、別紙の「家族からの疑問・質問に対する回答」で回答します。医学的評価の範疇において可能な限り回答します。なお、別紙については公表しません。
■ 原因分析報告書の構成
1. はじめに
2. 事例の概要
1)妊産婦等に関する基本情報
2)今回の妊娠経過
3)分娩のための入院時の状況
4)分娩経過
5)新生児期の経過
6)産褥期の経過
7)診療体制等に関する情報
8)児・家族からの情報
3. 脳性麻痺発症の原因
4. 臨床経過に関する評価
5. 今後の産科医療向上のために検討すべき事項
1)当該分娩機関における診療行為について検討すべき事項
2)当該分娩機関における設備や診療体制について検討すべき事項
3)わが国における産科医療体制について検討すべき事項
原因分析報告書の公表
本制度は公的性格を有し、本制度の透明性を高めること、同種の事例の再発防止や産科医療の質の向上を図ることを目的として、報告書を分娩機関と児・保護者にフィードバックするとともに、個人情報および分娩機関情報の取り扱いに十分留意の上、公表します。
公表の方法としては、分娩機関と児・保護者に報告書を送付してから一定期間経過後に、報告書の「要約版」を当ホームページに掲載します。「要約版」には個人や分娩機関を特定されるような情報は掲載されません。
また、個人識別情報や分娩機関を特定されるような情報等をマスキング(黒塗り)した「全文版」を学術的な研究、公共的な利用、医療安全の資料のために、一定の手続きにより開示請求があった場合に、当該請求者にのみ開示します。