産科医療補償制度の補償申請について

補償対象基準(個別審査基準)に関する参考事例

実際の事例をもとに作成した参考事例を紹介します。

補償対象か否かの審査にあたっては、診断書、診療録、頭部画像、動画、各種検査データ等により総合的に判断を行っていますので、同じような事例が必ずしも補償対象外または補償対象となるものではありません。

補償対象外の事例(個別審査基準に該当するケース)

●参考事例 — 1

出生時の臍帯動脈血のpH値が7.1以上であり、かつ、胎児心拍数モニターにおいて補償約款に定めるいずれの徐脈も認められず、さらに胎児心拍数基線細変動の消失が認められないとされた。

●参考事例 — 2

急速な分娩進行により、来院から45分ほどで分娩となった。胎児心拍数モニターは施行できず、臍帯動脈血の採取もできなかった。アプガースコアからは仮死はなく、バッグ・マスクによる蘇生に対する反応はそれほど悪くなかった。また、頭部画像においても低酸素を示す所見を認めなかったこと等から、分娩中に所定の低酸素状況が生じていたとは考えがたいと判断された。

補償対象の事例(個別審査基準に該当するケース)

●参考事例 — 1

ドプラーによる徐脈確認後、ただちに緊急帝王切開となった。胎児心拍数モニターは施行できず、臍帯動脈血のpH値は7.1以上であったが、胎盤の病理検査結果等から常位胎盤早期剥離と診断されており、また、アプガースコアは重度仮死であり、吸引、バッグ・マスクや気管挿管などの蘇生に対する反応が悪かった。頭部画像においても低酸素状況を示す所見を認めたこと等から、分娩中に所定の低酸素状況が生じていたことは明らかであると判断された。

●参考事例 — 2

自宅にて突然に分娩が開始し、救急を要請した。救急隊が医師の電話による指示のもと(分娩機関の管理下)、児を娩出した。分娩中の胎児心拍数モニターおよび臍帯動脈血ガス分析値など、補償約款に記載されている低酸素状況を示すデータはなかったが、救急隊が記録した処置・分娩経過表等をもとに、分娩中に所定の低酸素状況が生じていたことは明らかであると判断された。

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